綾鷹は7年ぶりにリニューアル

 こうした状況を経て、「綾鷹」は24年春に7年ぶりのリニューアルを実施。24年の販売数量は5,960万ケースとなり、5,500万ケースの伊右衛門を抜いて2位に再浮上した。綾鷹は主に、(1)デザイン、(2)容量、(3)味、(4)コミュニケーションの4点を刷新したと助川氏は話す。

「デザインはシンボルマークの急須を残しつつ、若い世代が手に取りやすいモダンなものに刷新しました。容量も従来の525mlから650mlにサイズアップし、1日を通じて楽しめるようにしました」(同)

 スーパーが自社で販売するPB商品が安さを武器に勢力を伸ばすなか、容量アップはお得感をもたらし、販売数量の回復に貢献したのかもしれない。味はどのようにリニューアルしたのだろうか。

「650mlになっても飲み飽きないよう、飲みやすい味に変更しました。以前の綾鷹も評価は高かったですが、苦さや渋さがあり、水分補給などいろんなシーンで飲み続けやすいとはいえませんでした。リニューアルでは旨味を維持しつつも苦みや渋みを抑え、もう一口、もう一杯と、飲みたくなる軽やかな後味にしました」(同)

 発売当初の綾鷹は「プレミアム緑茶」として、苦みや渋みなどの緑茶らしさを訴求していた。24年度のリニューアルで軽やかな方向にシフトしたことになる。なお、(4)のコミュニケーションに関しては、高齢者から若年層まで幅広い年代で支持を受けている宇多田ヒカル氏をアンバサダーに起用。幅広い年代へのアピールに努めた。