日本でも毎年のようにストーカー事件が凶悪犯罪に発展しています。
警察庁の統計によれば、2020年に全国の警察が扱ったストーカー事案の中で殺人に至ったものが1件、殺人未遂が7件発生しています。
被害者の約9割が女性で、そのうち加害者が交際相手・元交際相手または配偶者・元配偶者だったケースが全体の5割近くを占めています。
こうした数字は、ストーカー被害が決して他人事ではなく、誰にとっても命に関わる深刻な問題であることを物語っています。
1999年の桶川事件でも、警察の捜査怠慢が被害拡大を招いたとして遺族が国家賠償訴訟を起こし、警察の過失が認定される事態となりました。
これらの事例から浮かび上がるのは、被害者の訴えを軽視し、法制度の限界を言い訳に対応を怠るというパターンです。
初動の遅れや判断ミスが、ストーカー被害をより深刻な局面へと発展させてしまう現実があるのです。
せっかく警告を与えても継続的な監視がなければ、被害者は再び危険にさらされかねません。
被害者から見れば、警察の対応は受け身で不十分に映り、必要な保護策が講じられないまま放置されている――まさに助けてもらえないという深い失望感に繋がっているのが現状なのです。
しかしなぜストーカー被害に対して、世界中の警察機構は十分に対応しないのでしょうか?
世界中の警察官がストーカーに対して特に怠慢なのか、それとも現行の警察システムそのものにも原因が潜んでいるのでしょうか?
3:なぜストーカー対応で怠慢が起こるのか?

それでは、なぜこのような「怠慢」と呼ばれる対応の不備が起こってしまうのでしょうか。
背景には、警察組織の構造的な課題や制度上の限界、そして人々の認識の問題が複雑に絡み合っています。
第一に指摘されるのは、警察や司法関係者の認識不足や偏見です。
ストーカー被害は比較的新しいタイプの犯罪であり、伝統的な暴力犯罪に比べて理解が追いついていない面があります。