図の右側の生成については、2番目の赤字のとおり、「生成AIを使わずともやってはいけないことはやらないことが大事」。

生成の3番目に「数少ない懸念すべき可能性は『他人の作品と意図せず偶然一致してしまう』場合」とある。著作権侵害となるには、二つの作品が似ているかどうかの類似性と作品が別の作品にもとづいて作成されたかどうかの依拠性が必要。

偶然一致した場合は侵害にならないが、侵害の疑いを持たれないために現状でできる対策として、小沢氏は「画像検索などで類似の画像がないかを検索するという類似性対策と、プロンプトや元画像や生成環境などを保存しておくという依拠性対策」を挙げる。偶然であることの立証は難しいが、プロンプトに入ってなければ偶然であると反論しやすいので、保存を勧めるわけである。

権利侵害についてのQ&A

権利侵害の問題については、DCAJ講演でも質問があり、小沢氏に先立って講演したジャーナリスト/専修大特任教授の松本淳氏も加わって以下の質疑があった。

Q:プロンプトをもとにAIで生成したキャラクターイラストをトレスして漫画を作るのは著作権的に問題ないか?

小沢:基本的には類似性と依拠性、この二つにおいて問題なければ問題ない。

松本:たとえば、ジブリフィケーションの例でいえば、プロンプトでジブリ風にしてと言ってしまうと、その段階で類似性、依拠性があるのか?

小沢:少なくとも依拠性はある。ただそれでも具体的にジブリのどの作品のどの場面というのがなければ、そこは争点にはなると思う。

松本:「〇〇風」だけではAIにかぎらず著作権の侵害にはならない?

小沢:そうですね。そこは著作権うんぬんというより創作者に対するリスペクトの問題になるのかなと思う。

拙稿「チャットGPTが巻き起こした『ジブリ旋風』の光と影」のとおり、著作権法は創作的な表現に至らない作風やアイデアを保護するものではないので、「作風」が「アイデア」である場合、そのような「作風」が共通したとしても、著作権侵害とはならない。