中には「このAIが本当の人間だったら…」と願うほどAIキャラに思い入れを抱く人もおり、そうした理想化されたデジタル恋愛に浸るほど、現実の結婚には消極的になっていました。
特に男性参加者にこの傾向が強く、男性は女性よりもバーチャル恋愛で満たされることで結婚願望が下がりやすいのです。
リハビリメカニズム(AIで自信をつけ現実の結婚に前向きになる): 一方で、AIとの擬似恋愛が「練習台」や「癒やし」となり、人の心を前向きにするケースもあります。
バーチャルな恋愛で幸せな気分を味わったり、自分に恋愛の自信がついたりすると、現実の結婚に対しても好意的な姿勢が強まることがわかりました。
実際、AI恋人との対話で「楽しい」「自分は魅力的だ」と感じる参加者ほど、「結婚は良いものだ」というポジティブな結婚観を持ち、「自分も結婚できそうだ」というコントロール感覚も高い傾向が見られたのです。
つまり、バーチャル恋愛で得られた良い気分やスキルが現実の世界にも波及し、結婚に対する意欲を高める“リハビリ効果”が働いていると考えられます。
また、意外なことに「没入度」については、当初予想とは逆の結果となりました。
研究チームは、AIの世界に深く没頭すると現実の社会規範から切り離され、結婚願望が下がるのではと予測していました。
ところが実際には、AI恋愛に強く没入している人ほど、伝統的な結婚規範を重んじる傾向が高かったのです。
これは、恋愛ゲームの物語やキャラクター設定が現実の恋愛観(「最後は結婚してハッピーエンド」のような)を反映しているため、バーチャルな体験がかえって結婚は良いものだという意識を強化した可能性があります。
そして興味深いことに、男性と女性でこうした影響の受け方に差が見られました。
男性は女性よりも、バーチャル恋愛による心理的影響(親密さによる満足感、没入度、自信の向上など)が大きく、現実の結婚願望への波及も顕著だったのです。