まず、都市の生態学的側面の特徴として、職住分離、分化と専門化、物理的近接と社会的疎遠、異質性の増大、流動性、孤立化などがあげられる。

第二の社会構造面では、法人組織の増大、社会成層の複雑化、機能的目的集団への多元的所属、大衆相手の文化的・商業的機関の発生、専門処理機関の増加があげられる。

三番目には生活構造(社会関係)面があり、これには血縁・地縁関係の衰退、社会関係のインパーソナルな性格、皮相性、匿名性、一時的性格、二次的接触の優位が含まれる。最後の意識面では、統合性の欠如、主知性と合理性、無関心と競争心、孤独感、軋轢と焦燥などが特徴として引き出される。

いうなれば、都市化はそのまま先進国の「現代社会論」としてのテーマに使えるような包括的な内容をもっていた。

ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ

同時に産業化と都市化によって、家族・親族という血縁の共同体、地縁による村落共同体、宗教の共有が精神的な共同体を作る教会などに見られるような、テンニースにゲマインシャフトと命名された共同体や集合体が壊れ始めた時代が到来した。

その反面で、世俗化に伴い、ゲゼルシャフト的集合体が世界的に活動を始める。実際に資本主義体制が確立すると、土地、労働、資本、組織の連携により利益を最大限に追求する企業、二次的関係が主流の大都市、企業利益や国益最優先で結びついた世界システムなどの巨大集合体が活躍する時代になった。

カステルの新都市社会学

新しい研究動向としては、カステルの都市問題論を表1のようにまとめて紹介した。都市の空間的要素を生産、消費、交換、管理に分けて類型化していたが、それはまるで資本主義論そのものだという印象をもった。

表1 カステルの都市空間論 (出典)カステル、1972=1984:117

なぜなら、カステル本人によって、「都市的単位やそれに関する諸過程を資本主義生産様式における労働力の集団的再生産の単位として分析できる」(カステル、1977=1984:396)とされていたからである。