などになる。いずれもこれらは21世紀の現在にもつながっている大きな社会変動である。これらの根本的要因としては産業化と都市化が想定されて、学術的にも多方面からの研究がなされていたのが、私の大学院時代からの10年間であった(連載第2回)。
ゼーション現象への関心
この両者は社会変動の構成要素としてもっとも重要であるが、英語表現では産業化がindustrializationであり、都市化もurbanizationと表記される。その他の近代化(modernization)や官僚制化(bureaucratization)や国際化(internationalization,globalization)などを合わせて、今田が「ゼーション現象」と命名していた(今田、1986)。
同じ年に富永「理論社会学」の集大成ともいえる『社会学原理』(1986)が刊行され、その第3章が「社会のマクロ理論」、第4章が「社会の変動理論」として、精密な論理が展開されていた。第3回で触れた私が「書評論文」を書いた本である。
1年生の「社会学」講義
久留米大学でも入学直後の1年生に「社会学」を講義していたので、北大でも同じように1年生の「社会学」を定年まで受け持った。何しろ12学部の新入生に開放された講義であり、文系・理系・医歯薬獣医系などの「柔軟な頭」の1年生が受講するので、毎年のテーマ設定を苦労しながら楽しんでもいた。
最初の3年間はコント、ウェーバー、デュルケムなどを概観して、ゼーション現象としての産業化と都市化、そして新たに取り組みはじめた高齢化と福祉化などを15回に分けて話していた。
マクロ社会学と社会変動への視点の移動
4年目あたりから、それまでに精読した富永『社会学原理』からの知識を使い、もっと幅広い社会学を講義しようと努力した。