なぜ広範囲に? 相互接続された電力網の脆弱性
最初の原因が何であれ、これほど広範囲に影響が及んだのは、ヨーロッパの電力網が高度に相互接続されているためだ。通常、この相互接続は信頼性を高める要因となる。ある地域で問題が発生しても、他の電力網がバックアップを提供できるからだ。しかし、それは同時に、大規模な障害が発生した場合、システム全体がはるかに広い範囲にわたって脆弱になることも意味する。
キングス・カレッジ・ロンドンの工学研究者グラツィア・トデスキーニ氏は、電力網は大規模に相互接続されたシステムであり、その安定性は発電量と消費量の間の極めてデリケートなバランスの上に成り立っている、と指摘する。 彼女によれば、もし何らかの原因で一部の地域への電力供給が途絶えると、その地域からの電力供給に依存していた、あるいはその地域へ電力を供給していた近隣地域へと、連鎖的に影響が及ぶ可能性があるのだ。 このように、相互接続は安定性を高める一方で、ひとたびバランスが崩れると、問題を広範囲に波及させてしまうリスクもはらんでいるのである。
小規模な地域の停電の影響を限定するための対策は存在するものの、電力の不均衡が大きすぎると簡単に機能しなくなり、停電が非常に迅速かつ広範囲に広がる可能性がある、とトデスキーニ氏は付け加える。