言い換えれば、特定の戦略をひたすら貫くのではなく、変化に応じて柔軟に学習方法を適応させる能力こそが、人間の知性を支える原動力だと示唆されたと言えるでしょう。

実際、本実験でも戦略を巧みに切り替えられた参加者ほど高い成果を上げており、適応性の高さが個人の成功を決める重要な要因であることが強調されました。

さらに今回の知見は、社会的文脈における適応的学習や意思決定の認知メカニズムに関する理解を深め、集団内で情報がどのように広がっていくかや、新たなイノベーションが生まれる過程を解明する手がかりにもなります。

将来的には、学校教育や職場などで人々がより柔軟に学習できる環境づくりや、共同作業における効果的な情報共有の設計にも、この研究成果が応用されることが期待できるでしょう。

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元論文

Adaptive mechanisms of social and asocial learning in immersive collective foraging
https://doi.org/10.1038/s41467-025-58365-6

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部