こうしたデータ分析により、戦略を状況に合わせて柔軟に切り替える適応力が高い人ほど多くの資源を獲得し、成績が良いことが明らかになりました。

逆に、最初から最後まで個人での探索だけ、あるいは他者の手がかり頼みだけ、といったように戦略を固定してしまった人は、あまり成果を伸ばすことができませんでした。

また、プレイヤーがいつ社会的な手がかりに頼るか、いつ自分一人で探索するかという判断は、その時点での自分自身の成果に大きく左右されていることも分かりました。

自力で順調に資源を見つけられているときには探索を続け、行き詰まると他のプレイヤーのヒント(青いスプラッシュ)を追いかける――各参加者は自分のパフォーマンスを“共通通貨”、すなわち共通の指標として両学習戦略を切り替えていたのです。

研究によって発見された最高効率を出す方法

研究チームが示した答えはとてもシンプルです。――まずは自分で試してうまくいっているうちは、とことん「ひとり探索」を続ける。ところが手詰まりになって成果が途切れた瞬間、視線を周囲に向け、直近で成果を上げた人だけを素早く見つけて真似する。そしてまた自分の手で連勝できるようになったら、迷わず単独行動へ戻る――この“息継ぎ”のようなリズムこそが最適解でした。とくに資源が塊で眠る環境では仲間の発見情報が金脈の手がかりになるため模倣を厚くし、資源がバラけている環境では逆に自力探索を優先する切り替えが功を奏しました。要するに「調子がいいときは自分流、伸び悩んだら成功者の背中を追う」という単純なルールを、状況に合わせて繰り返し行うことで、人は複雑な世界でも最短で学べるというわけです。

マイクラで覗いた“切り替え脳”のリアルタイム映像

本研究により、人間は学習において単に他者の真似ばかりする受動的な存在でも、自分のやり方に固執する頑なな存在でもないことが明確になりました。

むしろ、状況に応じて自分での学習と社会からの学習をダイナミックにバランスさせており、両者のメカニズムは互いに増幅し合い、その切り替えは各人の成果という共通の物差しによって制御されていたのです。