参加者はパソコン上のマインクラフト世界に没入し、資源探しに挑みました。

本研究では、プレイヤー各自がゲーム内で何を見ているか(視野データ)を自動的に記録する革新的な手法も導入されました。

画面に映るブロックや出来事、他のプレイヤーの姿が20分の1秒ごとに保存され、各参加者がどこに注意を向けていたのかが詳細に追跡されたのです。

さらに、蓄積された視野・行動データをもとに、参加者が次にどのブロックを掘るかを予測する計算モデルも構築されました。

実験では各参加者がマインクラフト内のアバターを操作し、地中に隠れた資源ブロック(スイカやカボチャ)を探しました。

ブロックを壊して資源を発見すると、その地点に青いスプラッシュのエフェクトが現れます。

これは他のプレイヤーからも見えるため、周囲にさらなる資源がある場所を示す「手がかり」として利用できます。

各ラウンドの始めに参加者には、自分ひとりで探索するか、リアルタイムで互いにやりとり可能な4人グループの一員として探索するかが割り当てられます。

また環境には2種類あり、資源が塊状に集中している「パッチ型」では一箇所で見つかれば近くに他の資源が眠っている可能性が高いのに対し、資源がまばらに散らばる「ランダム型」では場所に規則性がなく手がかりの価値はありません。

参加者たちは協力ではなく各自ができるだけ多くの資源を集めることを目指すため、状況に応じて単独行動と他者からの学習を上手に使い分けて報酬を探す必要があります。

分析を主導したチャーリー・ウー氏(チュービンゲン大学)は、「簡単に言えば、個人学習と社会学習の戦略をすべて一つの計算フレームワークに統合することで、参加者が次にどのブロックを選ぶかを予測できるようになりました。

この新しいアプローチにより、現代のAIを支える学習アルゴリズムと、他者の成功行動から柔軟に学ぶ社会的学習メカニズムとを結びつけることが可能になります」と述べています。