重要なのは、地球のように生命を育むだけの好条件を備えた惑星が、宇宙にどれほど存在するかという点です。
もし地球レベルの環境がめったに見られないなら、生命が生まれる機会も当然限られてしまいます。
実際、キッピング氏自身も「私たちの研究は、生命が宇宙に普遍的に存在することを証明するものではありません。」「地球のような環境が非常に珍しいのかもしれないからです。」とコメントし、そのうえで「次のステップとして、『地球と似た条件がどれくらい一般的に見られるのか』を調べる必要があります」と強調しています。
将来的には、火星や木星衛星などの太陽系内の天体でかつて生命がいた証拠を探す研究や、系外惑星の大気から生命を示す手がかり(バイオシグネチャー)を見つける観測が進むことで、生命の普遍性に関する理解が一段と深まるでしょう。
今回の発見は、「地球のような惑星では生命はわりと早く生まれる」という見方を正式に裏付けたという点で大きな意義がありますが、それゆえに私たちの住む地球が実はどれほど得がたい存在なのかという問いにも、新たな光を当てる結果となりました。
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元論文
Strong Evidence that Abiogenesis Is a Rapid Process on Earth Analogs
https://doi.org/10.1089/ast.2025.0009
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部