骨相学マニアの仕業? ハイドンの数奇な頭蓋骨

(画像=画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)
「交響曲の父」として知られるオーストリアの作曲家、ヨーゼフ・ハイドン。1809年に77歳で亡くなり、ウィーンの墓地に埋葬された。ところが、彼の元友人ヨーゼフ・ローゼンバウムと刑務所長のヨハン・ペーターが墓掘り人を買収し、半ば腐敗したハイドンの頭部を手に入れてしまう。
この不気味な二人は、「骨相学」の信奉者だった。骨相学とは、頭蓋骨の形状から個人の性格や才能を読み解けると信じる、現在では疑似科学とされる考え方だ。彼らはハイドンの頭蓋骨を研究対象とし、ペーターは自宅の特別な飾り棚にそれを陳列していたという。
この盗難が発覚したのは、ハイドンの古いパトロンであったエステルハージ侯爵が、彼の遺体をより立派な場所に移そうとした時だった。犯人は特定されたものの、彼らは偽の頭蓋骨を提出してその場をしのいだ。本物のハイドンの頭蓋骨が、ようやく彼の遺体の他の部分と再会を果たしたのは、なんと1954年のことだった。