今年は相対性理論で知られる20世紀最高の物理学者、アルベルト・アインシュタインが76歳で亡くなってから70年という節目にあたる。しかし、彼の死後、その「脳」が盗まれていたという事実をご存知だろうか?
実はアインシュタインに限らず、歴史に名を刻んだ著名人の中には、死後に頭部や脳といった重要な部位が行方不明になるという、なんとも不気味なミステリーに見舞われた人物が少なくない。歴史家たちをも悩ませる、そんな奇妙な事件の数々を紐解いてみよう。
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世紀の頭脳はどこへ? アインシュタイン脳盗難事件
E=mc²という有名な方程式を残したアインシュタイン。1955年4月18日にアメリカで亡くなった後、世界はある謎に直面した。「彼の脳はどこへ行ったのか?」と。
驚くべきことに、遺体を火葬する前の検死解剖の際、担当した病理学者トーマス・ハーヴェイが、遺族の許可なくアインシュタインの脳を摘出していたのだ。ハーヴェイは、その脳をスライスし、天才の秘密を解き明かそうと考えたらしい。後に遺族はこの事実を知り、科学研究目的に限り、ハーヴェイが脳を保管することを渋々認めたという。
しかし、ハーヴェイは神経学者ではなく、脳の研究はほとんど進まなかった。脳の行方は長らく不明だったが、1978年にあるアメリカ人ジャーナリストがハーヴェイを探し当てた。なんと彼は、脳をアルコール漬けにして2つの瓶に入れ、古いサイダーの木箱に保管していたと告白したのだ。その後、この貴重な脳は遺族を通じて博物館に寄贈された。