FC東京サポーターからすれば、当時直近10戦で6勝4分けの“お得意様”の清水が相手。しかもホームで2人多い状態での敗戦は許されるハズもなく、味スタのゴール裏から特大のブーイングが飛んだことは言うまでもない。

鹿島アントラーズ
2007年11月24日:J1第33節浦和レッズ戦/埼玉スタジアム1-0
2007シーズン、5季ぶり5度目のJ1制覇を飾った鹿島アントラーズ。ここから5年もの長期政権を築くことになるオズワルド・オリヴェイラ監督初年度でもある。このJ1第33節浦和レッズ戦は、シーズン終盤11連勝で逆転優勝した勢いを感じさせる試合でもあった。
宿敵の浦和が相手で、しかも浦和も優勝の可能性を残し、加えてアウェイ戦だったこの試合。優勝するためには勝つしかなかった鹿島。この大一番が行われた埼玉スタジアムには62,123人もの大観衆が集った。
しかし気合が空回りしてしまい、DF新井場徹が33分と42分に立て続けに警告を受け、退場してしまう。前半のうちに10人となった鹿島だったが、浦和の猛攻を凌ぎ、FW田代有三のパスを受けたMF野沢拓也が右足でカーブを掛けたコントロールシュートで先制に成功する。
反撃に出たい浦和だったが、前半で負傷したMF平川忠亮に代わってDF細貝萌を投入していた。後半28分にDF相馬崇人に代わってMF小野伸二を入れるが、結果、交代カードを1枚残したまま試合を終えることになる。
鹿島の2人目の退場者は、田代に代わって入ったMF船山祐二だったが、後半44分だったことが不幸中の幸いだった。DFの控え選手がいなかったため、背番号10を背負うMF本山雅志が「サッカー人生で一度も経験がなかった」というDFラインに入り、懸命に守り切った。
試合終了のホイッスルが鳴ると、鹿島ベンチは狂喜乱舞。この勝利はACL(AFCチャンピオンズリーグ)出場を確定させただけではなく、J1初の通算300勝目でもあった。オリベイラ監督は「チームが結束していた。うれしく思う」と喜びをかみしめた。