このシーズンの東京Vは、オズワルド・アルディレス監督が途中解任され、バドン監督(2020年死去)が引き継いだものの、この勝利以降全く勝てなくなる。12戦連続で勝ち星がないままJ2降格してしまった。鹿島にとっては気の毒だが、“最後の徒花”の犠牲となった形だ。

清水エスパルス
2012年4月28日:J1第8節FC東京戦/味の素スタジアム1-0
2011年から清水エスパルスの指揮を執ったアフシン・ゴトビ監督2年目のシーズン。元スウェーデン代表MFフレドリック・ユングベリ獲得で話題を振りまいたが、戦力とはなれず、このJ1第8節FC東京戦もベンチ外だった。
清水だけで9枚の警告が出され、後半11分にFWジミー・フランサが、後半28分にはMFアレックスが立て続けに退場してしまう。
この時点でスコアはまだ0-0。現実的には何とか守り切ってスコアレスドローに持ち込めれば御の字の展開だったが、1人少ない後半22分の時点でFW高木俊幸とFW高原直泰を投入してしまっていたことで、ゴトビ監督は思い切った布陣を用いる。
4バックと3トップを維持した上で、中盤を守備的MFの村松大輔に任せた【4-1-3】のフォーメーションにし、意図的に間延びさせ、オープンな展開に持ち込んだのだ。
これに困惑させられたFC東京はマーキングにズレが生じる。その隙を突いた清水は後半32分、ワンチャンスをモノにしカウンターから高木がゴール。直後にDF平岡康裕を投入し、勝ち点3をゲットしてしまった。
ゴトビ監督は「9人以下にならないように願っていた。我々は11人でも10人でも9人でもいいチーム」と胸を張った。広大なスペースを1人でカバーした村松も「人数が減ってもプレスはできていた。人が足りないとは感じなかった」と語った上で、「数的不利になったので、人に付いても仕方がなかった。相手に食いつかずに、スペースを埋めることをみんなで意識していた。DFが粘ってくれていたので、それが大きかった」と振り返った。