特筆すべきは、拍手の音がどれだけ大きくなるかも、単に力強く叩いたかどうかだけでなく、「共鳴系としての空間設計(空洞と出口)の条件」が整っているかどうかで決まる、というがわかった点です。
拍手とは、ただの皮膚の衝突音ではなく瞬間的に空気を操る巧妙な楽器だったのです。
瓶の口に吹きかける音と、拍手の音。この二つが、まったく同じ原理で鳴っていたと聞いて驚いた方もいるかもしれません。けれどそれこそが、科学の面白さです。
当たり前に聞こえていた音にも、見えない力が働いている。物理学は、それを言葉にし、式にし、証明していく学問です。そしてその第一歩は、「どうしてだろう?」という素朴な疑問から始まります。
次に手を叩いたとき、その音の裏で小さな“空気のバネ”が震えていることを、ほんの少しだけ思い出してみてください。きっと、いつもよりも少しだけ、世界が響いて聞こえるはずです。
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参考文献
The sound of clapping, explained by physics
https://www.sciencenews.org/article/sound-clapping-physics-explained
元論文
Revealing the sound, flow excitation, and collision dynamics of human handclaps
https://doi.org/10.1103/PhysRevResearch.7.013259
ライター
相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。
編集者
ナゾロジー 編集部