実際、一部の参加者は17歳以降に楽器を始めたにもかかわらず効果が見られたことから、大人になってからでも遅すぎることはないようです。
指先から奏でるメロディーが脳を刺激し、注意力や記憶力を向上させてくれる――そんな副作用のない楽しいトレーニングなら、当事者にとって取り組みやすく自己肯定感にもつながるでしょう。
研究者らは「音楽によるプログラムを療法に組み込めば、楽しみながら認知機能を伸ばすことができ、ADHDの人の生活機能を向上させる非スティグマ的な方法になり得る」と期待を寄せています。
今後さらなる研究が進めば、音楽スタジオがADHDケアの現場の一端を担う日が来るかもしれません。
全ての画像を見る
元論文
Enhancing cognitive abilities in young adults with ADHD through instrumental music training: a comparative analysis of musicians and non-musicians
https://doi.org/10.1007/s00426-024-02048-2
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部