Jリーグファン、特に浦和レッズのサポーターにとっては、2008シーズンにゲルト・エンゲルス監督の下でコーチ兼通訳としてベンチ入りし、そのサーファーのような見た目のインパクトでモラス雅輝氏を記憶している人も多いだろう。

ちなみに2019シーズン、ヴィッセル神戸の新監督に就任したトルステン・フィンクが監督のアシスタントコーチとして、再び“J上陸”を果たしている。

生まれも育ちも東京で生粋の日本人だが、中学卒業後に単身海を渡り、同じくプロ選手経験がないままブンデスリーガの名将となったクリストフ・ダウム氏(2024年死去)との出会いがきっかけで、1997年に18歳で選手を引退し指導者に転身したモラス氏。

オーストリア女子1部、ドイツ女子3部、オーストリア男子2部のクラブで監督やコーチを務め、6度のリーグ優勝、5度のリーグ昇格経験を持ち、オーストリアサッカー協会コーチングライセンスを所持している。

難関と言われているオーストリアブンデスリーガ・スポーツマネジメント・アカデミーの卒業生でもあり、レッドブル・ザルツブルクでは、元日本代表DF宮本恒靖と元日本代表MF三都主アレサンドロの通訳とスカウティングスタッフを兼務。育成や裏方、フロントの仕事も経験したことで、指導者としてのみならず、戦術分析やコミュニケーション能力に一日の長があり、オーストリアのクラブであればすぐにでも監督就任が可能だろう。


中村俊輔コーチ 写真:Getty Images

中村俊輔(現横浜FCコーチ)

指導歴:横浜FCコーチ(2023-)

今年2月、加藤知弘静岡産業大ヘッドコーチと、元東京大学ア式蹴球部監督(2021-2023)で人気解説者の林陵平氏とともに、満を持してJFA Proライセンスを取得した元日本代表のレジェンド、中村俊輔氏。

現状コーチとしての経験しかなく、欧州で監督を務める認定基準に達していないが、現役時代に所属したスコティッシュ・プレミアリーグのセルティック(2005-2009)では今でも彼はアイドルだ。スコットランド代表監督(2013-2017)も率いたスコットランドサッカー界の大物、ゴードン・ストラカン氏と師弟関係にあったことで、“特例措置”としてセルティック・パークに監督として戻ってくる可能性もゼロではないだろう。