1999年に、メジャーリーグサッカー(MLS)の下部リーグとしての位置付けにある独立リーグのユナイテッドサッカーリーグ(USL)所属のシアトル・サウンダーズでプレー。選手引退後にはスタッフに。2005年に帰国し、サンフレッチェ広島に育成部門のコーチとして入団。2009年にはトップ昇格、スカウティング担当となる。トップチームでの選手経験のない人物の大抜擢はクラブ初のケースだった。

2010年にはイギリスに渡り、当時EFLリーグ1(3部)のハダースフィールド・タウンの育成部門のコーチとして入団。日本人2人目となるイングランドサッカー協会公認・欧州サッカー協会公認A級指導者ライセンスを取得する。

2012年1月には、当時EFLチャンピオンシップ(2部)のサウサンプトンに移籍したFW李忠成(2023年引退)の通訳として入団。プレミアリーグ昇格に貢献し、翌シーズンから李の通訳と並行してテクニカルアシスタントコーチに昇格。日本人として初めてプレミアリーグ所属クラブのコーチとなった。

2018年には、日本人初かつアジア人初となるイングランドサッカー協会(FA)と、UEFA Proライセンスを取得。時を同じくしてJリーグから声が掛かり、フットボール本部育成部に配属されると、育成改革プロジェクト「Project DNA」の立ち上げに関わる。2021年、日本の大手IT企業DMM.comが買収したベルギーのシント=トロイデンVVのコーチングスタッフに加わった。

プロ選手および監督としてトップリーグでの経験はないが、日本人初のUEFA Proライセンスを取得した人物だ。現在、シント=トロイデンは2部降格の危機に瀕している。ワウター・ヴランケン氏を新監督に迎えたばかりだが、日本人選手7人を擁しているとあって、まさかの降格となれば次期監督として高野氏の名前が挙がる可能性もあるだろう。


モラス雅輝TD 写真:Getty Images

モラス雅輝(現SKNザンクト・ペルテンテクニカルディレクター)

指導歴:インスブルッカーAC(オーストリア)女子セカンドチーム・U-12・U-13・U-15監督(1999-2004)、ヴァッカー・インスブルック(オーストリア)セカンドチーム監督(2021-2022)、同トップチーム監督(2021-2022)など