次にご覧いただくのが、このビデオ映像を編集したモンタージュですが、自分の失策を認めず強がりを言うほどその強がりが現実と遊離していく悲哀がすばらしく表現されていますので、ぜひ元になったティックトック映像もご覧ください。

残念なことに、このビデオ映像が公開されたときにはもう、株が下がると同時に国債金利も上がって国債価格も下がる相場になっていました。

トランプ自身が、このビデオ映像の中で「株価なんて20%ぐらい下がってもへっちゃらだけど、大口の国債借り換えスケジュールが詰まっている現状では、国債金利の上昇だけはなんとしてでも避けなければならない」とかなり率直に告白しています。

そこで「手柄はいつも自分のもの、ヘマは他人がすること」というご立派な世界観を持っているトランプは金利上昇の責任をFedのパウエル議長に負わせて、「さっさと金利を下げろ」と叱責したわけです。

それにしても、バイデン政権末期にはすっかり沈静化していた卵の値段まで、いかに自分の経済政策が優れているかの証拠として持ち出したのは、あまりにもウソが見え透いた大失敗でした。

じつにタイミング良く、A級大玉卵1ダースの値段が史上初めて6ドル台に乗せたとき「卵の値段が下がったのも俺のおかげ」と自慢している動画を公開してしまったからです。

それとも、トランプは「どうせ俺の支持者たちは経済統計なんか見ないし、たとえ見たところでそれが何を意味するかなんてわかるはずがない」とタカを括って大ウソをつき続けるつもりなのでしょうか。

そして、自分が提唱した懲罰的な高率関税政策が株安を招いたことをよく知っているトランプは、今度はこの政策の実施を延期したり、適用対象を絞ったりすれば、株価は上がると読んで、堂々と現職大統領の身でインサイダー情報を流布し始めます。

始めは「高率関税実施の90日延期なんてフェイクニュースだ」と言っておき、次に実際に延期を発表し、そして時間外であきないが閑散な土曜日を狙って、今度は「高率関税の対象からコンピューターやスマートフォン、半導体製造装置を外す」と言ってのけたのです。