この結果を受けて、研究チームはさらに追加の実験を行いました。
実験2では、規模を拡大し、107名(男性61名、女性46名)を対象にしました。さらに実験方法に、以下の改良を加えました。
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セクシー画像の表示頻度を減らし(全体の5分の1程度)、被験者が刺激に慣れないようにした
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画像の表示時間をわずか150ミリ秒に短縮し、意図的な視線移動を防いだ
これにより、より純粋に、無意識レベルで注意を引きつける力を測れるように工夫したのです。
すると、この条件の改善によって、結果が大きく変わったわけではありませんが、より明確なパターンが浮かび上がって来たのです。
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性的な画像による反応の遅れ(SCID効果)は、実験1よりも明瞭に再現されました。
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男性は、異性(女性画像)に対して特に強く反応する(女性が受ける影響より大きい)ことが確認されました。
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女性は、異性・同性問わず性的画像に対して反応しましたが、その影響は男性よりも小さかった。
さらに興味深い発見は、「男性は性的な刺激なら何にでも弱い」というわけではなさそうな点です。
研究チームは、同じ人がどの程度安定して反応するか、つまりこの実験に対して一貫した反応を示しているかという「リライアビリティ(信頼性)」も調べました。
その結果、このリライアビリティがあまり高くないことが明らかになりました。
しかしこれは、単に結果に信頼性がないというよりも、同じ男性でも画像の内容によって反応の強さがばらつく可能性を示していました。
つまり、男性は性的な画像であって、ある画像には強く注意を奪われるが、別の画像にはほとんど影響を受けないといった現象が起こっていたのです。
このことは、男性が性的な画像全般に無差別に引きつけられているのではなく、「自分の好みに合った対象」に対して特に強く無意識に反応している可能性を示唆しています。
たとえば、金髪女性の画像には強く反応するが、別の特徴の女性画像にはほとんど反応しないといった違いが、個人レベルで現れている可能性が高かったのです。