こうした環境の中で、女性たちは、

  • 誰が魅力的か(=誰がオスの関心を集めるか)

  • 誰が社会的に有力か

といった情報を無意識にモニターし続ける適応能力が進化したと考えられるのです。

つまり、同性(他の女性)の容姿や性的魅力に自然と注意を向けるのは、単なる興味本位ではなく、自分の生存戦略の一部だったのです。

さらに、女性の性的関心自体も、こうした社会的環境に合わせて柔軟性を持つように進化しました。

異性だけでなく同性にも情動的な反応を示し、必要に応じて同性との絆を深めることで、変化する環境に適応できるようになったと考えられるのです。

今回の研究で、女性が異性にも同性にも注意を向けたのは、こうした進化的背景を映し出している可能性が高いのです。

ネット民の疑問「賢者タイム(post-nut clarity)は考慮した?」

さて、海外の掲示板Redditではこの研究について、被験者男性が「賢者タイム(post-nut clarity)なら結果がバラつくのでは?」という疑問で盛り上がっていました。

確かに、性的興奮のピーク後に訪れる「賢者タイム」なら、男性はセクシーな刺激への反応が大きく減るかもしれません。

しかし今回の研究では、被験者の生理的状態(射精後かどうか)は特にコントロールされておらず、通常時の無意識的な反応のみが測定されました。

したがって、「賢者タイム状態なら、男性もセクシー画像に動じずにタスクを完遂できたのでは?」というネットのツッコミには、科学的にも一理あるかもしれません。

今後、もし賢者タイムとの比較実験が登場すれば、新たな人間理解の扉が開かれる──かもしれません。

全部本能のせい?私たちはどこまで自由か

今回の研究は、人間の注意や行動が、無意識下でかなり本能に支配されていることを示しています。

それは単に「男はエッチなものに弱い」という俗説を笑って済ますのではなく、進化的背景に根差した人間心理のリアルを明らかにしたものです。