今回の研究結果は、単に「男はエッチなものに弱い」という一般的なイメージを超え、「無意識の好み」が人間の行動に深く影響していることを浮き彫りにしたのです。
しかし男女でこのような違い生じる理由はなんなのでしょうか?
なぜ男は異性に、女は同性にも?──進化が作った「無意識の選択」
今回の研究では、男性が異性(女性)の性的な画像に特に強く引きつけられる傾向が確認されました。
進化心理学では、男性は繁殖機会を逃さないために、異性の性的魅力に対して迅速に注意を向ける必要があったと考えられています。
いわば本能的に、「異性レーダー」を常にオンにしている状態です。
一方、女性は異性・同性を問わず、性的な刺激全般に対して幅広く注意を向ける傾向を見せました。
この違いには、遠い進化の歴史が影響していると考えられます。
そもそも人類の祖先は、交配戦略に大きな性差を持っていました。
男性は同時に複数の女性と交配することが可能であり、できるだけ多くのパートナーと関係を持つことで、生殖成功率を高める戦略が有利でした。
一方、女性は妊娠・出産という身体的負担を伴うため、短期間に多数のパートナーと交配することは不利であり、より慎重に、質の高いパートナーを選ぶ必要がありました。
このように女性は進化的な背景として性的魅力だけに注意すれば良いわけではなかったので、男性ほど性的画像に強く引き付けられないのだと考えられます。
またこうした男女の違いから、多くの哺乳類では、強いオスを中心にしたハーレム型の集団構造が発達しました。
オスは、他のオスを蹴落とし、支配権を独占しようとする一方で、女性たちは同じハーレム内で長期的に共存する必要がありました。
オスにとっては、仲間と強い社会的ネットワークを築く重要性はあまり高くありませんでしたが、メスにとっては、同性同士で支援し合い、協力関係を築くことが生存と子育てに不可欠だったのです。