気になるデータもある。CFGがオーナーとなっている世界12クラブの中で、2部降格を経験したクラブが2クラブあることだ。1つは前述のジローナ、もう1つがトロワである(MLSとインディアン・スーパーリーグには現状、降格制度はない)。

ジローナは2018/19シーズン、ラ・リーガ1部18位で2部に降格、3シーズンの2部暮らしを経て、2022/23から1部に復帰。2023/24シーズンには3位となり、今2024/25シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)にも出場した(1勝5敗でリーグフェーズ敗退)。夢のようなV字回復をした。

もう1つのトロワは、CFGによる買収当時は2部にいたものの、2021/22シーズンにリーグ・アン昇格。しかし2シーズンで再降格し、今2024/25シーズンは昇格どころか3部降格の危機にある。

ここから何が見えるか。CFGは伸びしろのあるクラブを軌道に乗せることには長けているが、落ち目のクラブを立て直した実績に欠ける点だ。

唯一の成功例といえるジローナの場合、元U-19スペイン代表MFサムエル・サイス(現エユプスポル)や、元U-23アルゼンチン代表FWナウエル・ブストス(現タジェレス)といった、2部としては“反則級”のメンバーを揃えていた。

ジローナのホームスタジアムは収容人数約14,000人のエスタディ・モンティリビだが、街はバルセロナから車で約1時間、鉄道なら約40分で、バルセロナのベッドタウンとして人口が増え続けている。CFGが買収するクラブを選ぶ際、クラブそのものに加え、本拠地の都市の将来性も勘案していることが分かる。横浜FMとの業務提携も、横浜の街に魅力を感じたからだろう。

反面、トロワの街はかつて繊維業で栄えたが、中国製品が台頭したことで打撃を受け、その人口も6万人を切ろうとしている。投資対象としては魅力を感じないであろうと察しが付く。


横浜F・マリノス サポーター 写真:Getty Images

外資系企業によって新たなフェーズへ