もちろん、この説はまだ仮説にすぎません。今後は一般相対論を用いたより正確なモデルの構築や、他の観測データとの整合性の検証が求められます。

それでも、「星も銀河も、ブラックホールもすべて回っているなら、宇宙全体も回っていてもおかしくはないのでは?」というシンプルな問いから始まったこの研究には、科学の原点である“素朴な疑問”の力強さを感じさせられます。

海外のネット上では、宇宙が回転しているというこの仮説が、宇宙が巨大な回転ブラックホールの内部に存在するというアイデアと関連するのではないか? という話でも盛り上がっています。これは、宇宙の起源や構造に関する我々の空想の幅も広げてくれます。

私たちが見上げる夜空は、もしかすると、壮大な回転の中で静かに広がっているのかもしれません。

全ての画像を見る

参考文献

UH astronomer finds the universe could be spinning
https://www.hawaii.edu/news/2025/04/14/universe-could-be-spinning/

元論文

Can rotation solve the Hubble Puzzle?
https://doi.org/10.1093/mnras/staf446

ライター

相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。

編集者

ナゾロジー 編集部