。毒を食らわば皿までもと言わんばかりに迂回輸出を誘致する動きさえ見られたが、この手の動きは米国にとって最も封じるべきものである。

迂回輸出ブロックの極端な例が少し前にメキシコが考案した「独自の対中関税導入による対米協調」である。ベッセント財務長官はそれを「非常に興味深い」と評価したことが分かっている。中国から見て最も怖いのはこの動きが広がることであり、米国に対して自らの経済を顧みない姿勢を見せているのは、米国だけでなく、米国以外の国々に対する示威も含まれているかもしれない。

もし関税を引き下げてもらうためのカードとして独自対中関税を持ち出すなら、同様の破壊力をその国に対して行使できるということだ。

 

観客のことを考えると、米中ともに極端に高い関税率を振り回すモチベーションがある。逆にもしモチベーションがそこから来ていると考えると、このデモンストレーションは見かけよりも管理可能であるのではないか。

4/9から始まる90日間は基本的にローズガーデンで広げた風呂敷を畳むプロセスであり、逆ではない。ドタ勘では最終的にはトランプ政権の公約の一律10% +中国60% +安全保障に絡む品目の個別関税、という組み合わせの、せいぜい少し上に着地するのではないかと思っている。

米国の2024年の輸入額は約3.3兆ドル、そこから平均17%の関税を毟ることができれば関税の規模は5,000億ドルを優に超える。米国の財政赤字は2023年で1.7兆ドルなので、5,000億ドルはそれを黒字化できるとはいかないまでも既に十分大きい。

もちろん現実には関税を受けて米国の貿易金額は縮小するためこの手の静的な計算はあくまでも皮算用であるが、ベッセント財務長官が「最大で6,000億ドル」という数字を挙げていることからも分かるように、トランプ政権自身も公約以上の毟り方を期待していないはずである。

編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年4月12日の記事を転載させていただきました。