ロシア・ウクライナ戦争に関するお金の流れで、もう1点気になるのは、トランプ氏やマスク氏が述べてきたような「汚職(横領)」や「キックバック」の可能性である。

実はゼレンスキー大統領自身が現地メディアのインタビューで「アメリカが議会を通じてウクライナ支援という名目で拠出した1770億ドル(26兆5500億円)のうち、実際に我々が受け取ったのは750億ドル(11兆2500億円)だ。しかも現金ではなく、武器によって提供された。1000億ドル(15兆円)はそもそも受け取っていなければ、その行方も分からない」と発言している※56)。

ちょっとどこかへ置いてきてしまったと言うには、あまりにも巨額すぎる。ゼレンスキー氏のこの発言からしても、支援という名のもとに汚職(横領)が横行しているのではないか、との疑念が深まるばかりであり、汚職の可能性を陰謀論と呼ぶのは逆に暴論になってしまう。

マスク氏は「ウクライナに送られた数千億ドルの真相を究明する時が来た」と2月28日にXにポストした※57)。お金の流れがしっかりと検証され、その結果が公になることを願うばかりだ。

陰謀論という暴論

ところで、トランプ氏は長く「陰謀論者」と揶揄されてきた。例えば、トランプ氏は新型コロナウイルスが武漢の研究所から流出したという説を支持していたが、当時はそういう考えは陰謀論扱いされた※58)。しかし今や、CIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)も研究所流出説を支持しており※59)※60)、もはや通説になりつつある。

更に言えば、DOGEの働きにより、武漢研究所の新型コロナウイルス研究にUSAIDの資金が流れていたことも発覚している※61)。また、新型コロナワクチンに重大な副作用があるとの論調も、当時は陰謀論と言われたが、今やイエール大学なども含めてその存在を認めるようになってきた※62)。

陰謀論というレッテル貼りは、安易に思考停止を促し、時に事実(ファクト)や科学(サイエンス)から目を背けさせる効果があり、大きな問題だと筆者は思っている。