例えばモチベーション重視の発想は「モチベーションを上げてくれない会社が悪い」という考え方につながり、結果的に「うまくいかないのは自分のせいではない」という責任転嫁を生みます。これが成長の最大の障害になるのです。

また、1on1ミーティングを例にとると、本来は部下が現場で気づいた情報を上司に伝える能力を磨くべきなのに、1on1では上司が情報を引き出そうとするため、部下が主体的に報告する力が育ちません。

こうして「やらないこと」がゼロではなくマイナスになるのです。余計なことをやめれば時間も生まれますし、シンプルになるだけなのに、多くの人はそれをやり続けることが「仕事をしている」ことだと思い込んでいる。それをコンサルティングする会社まであるのは、もう理解できません。

尾藤:こういった考え方は耳障りが悪いでしょうね。

安藤:ええ、非常に耳障りが悪いので、ビジネスとして売り込むのも難しいです。だからこそ、私は「必ず真似する人が出てくる」と思っていますが、「仕組み」というブランドを確立することで、簡単には模倣できない価値を提供していきたいと考えています。

尾藤:貴重なお話をありがとうございました。

安藤:こちらこそ、ありがとうございました。

まとめ

対談では、識学が提唱する「仕組み」による組織マネジメントの本質について深く掘り下げられた。主なポイントは以下の通りである。

ポイント

「時間軸の重要性」:短期的な感情や満足ではなく、長期的な成長を重視する 「褒めることの弊害」:過度な褒め方は基準を下げ、成長を阻害することになる 「成長の順序」:「やる気→成長」ではなく「環境→努力→成長→やる気」という順序が正しい 「組織設計の考え方」:個人特性に合わせるのではなく、役割に人を合わせていく 「リーダーの距離感」:組織が機能するためには適切な距離を保つことの重要性 「評価制度の本質」:成果主義自体は正しいが、実装に問題があった 「姿勢のルール」:基本的なルールを全員が守る組織文化の構築が前提 「削ぎ落とすアプローチ」:余計なものを取り除き、本質に集中する