古谷氏は、まず①オープンレターの署名にはGmailが必要だったという「虚偽の事実」を摘示し、次いで②だから自分は一人では署名できなかったと主張する。しかし、そもそも①が事実でないので、必然的に②も事実でない(加えて、仮に①が事実であっても、②が成立するかは疑念がある)。
古谷氏の記事では、続いて③「酒席で署名を頼まれ、OKしたかもしれない」とする自問自答が始まり、以下のように記されるが、これも不自然だ。
しかし小生のメールボックス、SNSのダイレクトメール、その他を丹念に、数日間に亘って調べた結果、そのような証拠は全然なく、そもそも該時期に小生は単行本執筆に対し、特に編集者からの督戦に応えるべく追われに追われ、該知人らと酒席を共にした事実も、そんな時間的余裕も、からっきし完全に無いのである。
1300人以上が署名しただけあり、オープンレターが署名を募集した期間は、かなり長かった。2021年4月の4日に公開された後、同月末までは署名を受けつけたはずである。もしその間に一度でも、古谷氏に酒席に出席した事実が確認されるなら、上記の言明も虚偽になるので、司法の場で争うならもちろんこの点も検証する。
さらに言えば、21年の4月のみで済むとは限らない。古谷氏が書いているのは「酔った勢いでOKを伝えた相手が、独自に古谷氏の名前を署名簿に載せた可能性」についてだから、Webフォームでの署名の記入が〆切られた後も(たとえば同年の夏等でも)、古谷氏が宴席を囲んでいれば、同氏の名前が載ることは起こりうる。
いったい古谷氏は、いつからいつまでの「メールボックス、SNSのダイレクトメール、その他」を点検したのか。同氏が「なかった」と主張する酒席への参加は、本当にその間1回も存在しないのか。裁判で争うというなら、その点も俎上に上げることになろう。
そもそも、酒を飲む席で(オープンレターの関係者が)署名を話題に出し、「古谷さんも賛成ですよね? じゃあ、こっちで名前書いとくんで」といったサインの集め方をしたのかも、とする想定自体が、レターの運営者たちを侮辱している。そんな「署名運動」の手法はないからだ。