(※研究では従来のエントロピーを物理エントロピーとし、情報エントロピーとは明確に区別されています。また情報力学「infodynamics」は情報を扱う点で情報熱力学「infomation themodynamics」と似ていますが、厳密には異なる理論です)
もしこの法則が普遍的なものであるならば、シミュレーション仮説を支持する有力な状況証拠となるでしょう。
「情報には質量があるか?」 対消滅実験で検証
というのも、私たちの世界をシミュレートする演算機が存在する場合、何らかの方法を使って情報の圧縮を行い、演算能力の節約を行っている可能性があるからです。
そこで研究者たちは生物システム、原子物理学、数学的対象性、宇宙論など複数の異なるレベルにおいて情報力学第2法則が示すような、情報圧縮が行われているかを検討しました。
情報力学第2法則に従って、世界の情報は時間とともに圧縮される傾向にあったのでしょうか?
あらゆる物理法則は情報力学第2法則に従っている
情報力学第2法則に普遍性はあるのか?
謎に応えるため研究では計算式を用いて、異なるレベルにあるさまざまなシステムの情報量を定義し、時間経過による変化が検討されました。
その主な結果を要約すれば、以下の通りになります。
生物システムの遺伝情報は情報力学第2法則に従っている

情報力学第2法則は、遺伝情報の時間変化にも従来とは異なる観点で切り込みます。
たとえば研究では新型コロナウイルスの変異、すなわち遺伝情報量の変化が追跡されました。
新型コロナウイルスに起きる変異は変異株をうみだす原因になります。