情報理論は世界の秘密を暴くのでしょうか?
英国のポーツマス大学(UOP)で2023年に行われた研究によって、情報力学第2法則の存在は、私たちが存在する宇宙全体がシミュレーションであることを示すとする、興味深い結果が発表されました。
情報力学は情報は宇宙の基本的な構成要素であり、エネルギーと質量の両方を持つ物理的な存在であると定義しており、既存の情報熱力学とは厳密には異なっています。
また情報力学第2法則においては、あらゆる現象の情報内容は最小限に抑えられる傾向があるとされています。
新たな研究ではこの情報力学の第2法則による情報圧縮が、生物の遺伝情報や原子の情報量、数学的対象性、さらには宇宙全体に対して普遍的に適合できることを示しています。
また情報圧縮が起こるように世界がプログラムされているのは、この世界をシミュレートする演算機の負荷を軽減する目的があるためだと述べられています。
情報力学は、私たちを外の世界と繋ぐ鍵となってくれるのでしょうか?
研究内容の詳細は2023年10月6日に『AIP Advances』にて「情報力学の第 2 法則とそれがシミュレートされた宇宙仮説に与える影響(The second law of infodynamics and its implications for the simulated universe hypothesis)」とのタイトルで公開されています。
目次
- 現実は幻に過ぎないのか?
- 情報力学では情報は物理的な存在として扱われる
- あらゆる物理法則は情報力学第2法則に従っている
現実は幻に過ぎないのか?

現実が幻であるという概念は、古くは古代ギリシャの哲学者プラトン(紀元前427年)によって提唱されました。
プラトンはイデア論にて、目に見える世界は真の存在の不完全な仮の姿が投影されたものに過ぎないと述べています。