何なるご都合主義か。が、そのご都合主義は、本件文書が公益通報に当らないという立場の者からすれば、県及び知事の行為すべてに違法性はないということになるから、委員会が、今後に予想されるこうした意見への予防線を張ったように筆者には感じられる。

「不正の目的」の有無

報告書は、本件文書が「不正の目的」をもって作成・配布された場合には公益通報にならない、との極めて重要な件に関し、以下のような要旨で「不正の目的」は認められないとして、本件文書の作成・配布が3号通報に該当すると判断した。

元局長の4月1日付のマスコミ送付文書及び百条委員会宛陳述書には、「今の県政運営に対する不信感、将来に対する不安感、頑張って働いている職員らの将来を思っての行動」としてあるので、知事らに「反省し改めてもらい、風通しの良い県政になるようにとの願いを込めたもの」と考えられる。

元局長の知事らへの強い不満や批判的な態度が公用PCその他から窺われ、「知事らの失脚や信用失墜を望む感情もあったと考えることもできる」。本件文書は、公益目的はあるが知事ら対する「複雑な感情」に基づいても作成され、配布されたものと認められる。

だが、元局長は3月末での退職を希望し、民間団体への再就職も決まっていたから「不正の利益を得る目的」があったとは認められない。

文面からは知事らの信用が低下する効果を望む感情も窺える。が、当時の退職をめぐる状況に照らすと、実際に知事やや県幹部らを失脚させる目的まであったとは認められない。

文書末尾に「関係者の名誉を棄損することが目的ではないので、取り扱いには配慮するようにとあるので、記載のある組織・団体等に損害を与える目的があったとも認めがたい。

公用PCには「政権転覆」といった文言もあったが、元局長が退職間際であったこと等に照らすと、単に空想上のものであって、実行に移す意図までを窺うことはできない。

しかい、そうした理由については、退職間際だからこそ「立つ鳥が跡を濁した」との見方も出来まいか。だとすれば、退職間際だから公用PCの「政権転覆」なる文言が「単に空想上のもの」であろうとの安易な推論は成り立たなくなる。