委員会は、知事のメッセージや写真を入れることは当然の業務とは言えず、指示のなかった本件で追加発注までする必要があったかは疑問なしとしないとした。舌打ちをし、ため息をついて相手に考えさせようとする指導方法も、無用に相手を威圧し、萎縮効果を生じさせるとし、本来の仕事以外への気遣いをさせ、勤務環境を明かさせたものであり、パワハラに当たるとした。
本稿では省いたが「ココロンカード」なる小中高生が協力施設を無料で使えるカードの裏に井戸前知事の名がそのまま書かれていたので、知事の求めにより既発行のカードを含めて斎藤知事の名入りのものを発行し直した。つまり、前知事時代はカードに名入れしていたのである。
こちらはパワハラ認定しなかったものの、報告書には「カードを一斉に差し替えることは、知事の名前をアピールする、ないしは知事個人の個人的感情を満足させるものと考えざるを得ない」と記している。少々踏み込み過ぎた記述ではなかろうか。
パワハラ認定された案件には「空飛ぶクルマ」と同様のコミュニケーション不足とそれに伴う事前説明不足が背景にあるものとして、「AIによるマッチングアプリ」や「介護テクノロジーの導入」がある。説明する側は予算化や議会承認がされているので、知事が当然知っているものとしてことを運ぶが、知事には覚えがない案件もあろう。
その辺りを報告書は、「判らないことがあれば、聞けばよいのであって、事情を聞かずに説明を拒否するのは適切でない。事情を聞けば前提事実を正しく認識できるから、指導を行う必要のない案件もある。また指導の必要があっても、事情を聞かず強い口調で叱責することは相当性を欠く」と評価・提案している。確かにその通りである。
が、中には担当職員の段取りや気配りの欠如を指導したものが少なからずある。そうしたことを指導した結果が、夏休みの美術館の休館リカバリーのような県民サービスの維持向上や、「うちわ」に見るような「気遣い」の定着に繋がったことも多いのではなかろうか。