仮にも相模原市は全国で20しかない政令指定都市で、神奈川県内では横浜市、川崎市に次ぐ規模を誇る。それにもかかわらず、観客があまり集まらない理由は地理的・社会的な特性も影響している。相模原市は東京都心へのアクセスが良く、ベッドタウンとしての性格が強い。人口の約24.6%が東京へ通勤・通学しており、昼夜間人口比率が88と低いことから、住民の生活やレジャーの対象が市外、特に東京に向かっていることが伺える。故に地元でのスポーツ観戦より東京に遊びに行く傾向が強い。しかしこれは首都圏にあるJクラブ全て同じ条件だ。観客が増えない理由付けとしては弱い。

2008年創立のSC相模原は、わずか6年でJの舞台に上り詰めたものの、後発クラブであることに変わりはない。それはホームタウンを見れば一目瞭然で、周辺は平塚市はじめ神奈川県西部の20もの市や町をJ1湘南ベルマーレに押さえられ、東側には横浜市、川崎市があり、北側は東京都町田市だ。これ以上ホームタウンを広げられない事情があり、スポンサー集めにも影響してくる。

そうなれば、相模原市の都市人口の力に頼るしかないのだが、相模原市民へのPRも十分ではない。26日の清水戦でも、サポーターの数ではアウェイの清水に圧倒され、スタンドもほぼ清水のオレンジで埋め尽くされていた。


SC相模原 写真:Getty Images

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現在、SC相模原の運営会社「株式会社スポーツクラブ相模原」の筆頭株主は、IT大手のDeNAで90%以上の株式を取得している。

DeNAはSC相模原以外にも、プロ野球の横浜DeNAベイスターズや、プロバスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースを所有。DeNAのIR資料や他球団との比較で推定されるベイスターズの総資産は約167億9,100万円(2023年12月期)にも上り、推定年間約50億円以上を投じていると言われている。ブレイブサンダースにも年間約5~15億円を費やしている一方、SC相模原に投入しているのは年間約5~10億円に留まっている。