ここで、同じく「株式会社ギオン」がスタジアムのネーミングライツを取得しているJ1町田ゼルビアの本拠地・町田GIONスタジアムを例に取りたい。“天空の城”の異名通り、森に包まれた山あいにあり、最寄り駅である小田急線鶴川駅からは徒歩で何と60分かかる。
しかし、JR横浜線・小田急線町田駅、京王線・小田急線多摩センター駅、JR横浜線淵野辺駅、東急田園都市線南町田グランベリーパーク駅から直行バスを運行し、しかも無料で観光バスだ。これをJ2時代から続けているからこそサポーターを呼び込むことに成功している。
その結果としてJ1初昇格となった昨2024シーズン、平均1万328人が来場し、クラブ史上最多を記録したのだが、強いだけではお客さんは来てくれないことを理解したオペレーションを根気強く続けた賜物ともいえる。SC相模原が本気で集客に力を入れるのであれば、まずはこのあたりから改革が必要だろう。

多岐に渡る観客が増えない理由
SC相模原は、RB大宮アルディージャのJ2昇格とY.S.C.C.横浜のJFL降格によって、首都圏におけるJ3唯一のクラブとなった。上京している(J3クラブのある)地方出身者が我が故郷のクラブを応援できる機会を提供できるという意味ではビジネスチャンスでもある。
しかし、ホーム開幕戦の2月22日のJ3第2節(栃木SC戦/1-0)では4,993人を集めたものの、3月1日の第3節(鹿児島ユナイテッド戦/0-2)では1,829人、3月15日第5節(奈良クラブ戦/1-1)1,262人と、2,000人にも届いていない。ホームタウン(相模原市・海老名市・座間市・綾瀬市・愛川町)出身、在学、在住の小学生以下を対象に全てのホーム戦を無料で観戦することができる「こどもフリーパス」を発行しているが、その効果が現れるのはずっと先のことだろう。