現在の相模原GIONスタジアムも外観はキレイで、陸上トラックがある割には観戦しやすく、ピッチ状態も良好だ。2018年までナイター施設すらなかったことを考えれば、J3を戦う分には「これで十分」という印象を受ける。
ただこのスタジアム、非常にアクセスに問題があるのだ。駐車場は十分に用意されているのだが、車で行こうとすれば東名道や圏央道のICから向かうにしても渋滞は避けられず、電車で行こうにも最寄り駅はJR相模線の原当麻駅で、そこから登り坂を20分以上歩かされる。
沿線の住民には失礼であることは承知の上だが、ラッシュ時でも1時間に4本、夜ともなれば1時間に2本程度の運行しかない「相模線」と聞くだけで“遠くて不便”という印象を与え、東京都内や横浜、川崎のみならず、相模原市中心部に住む住民にとっても足が向きにくいのではないだろうか。
現実的なアクセス方法は、小田急線相模大野駅からバスに乗る方法だが、直行便ではなく路線バスだ(前売り券の販売状況次第では臨時直行便があるらしいのだが、この日はなかった)。しかも終バスの時間は20時25分。仮に試合が延長戦に突入していたら、相模大野経由で来たファンは途中で帰るか路頭に迷うかの二択を迫られるところだった。この事実だけで、クラブの運営担当は来場者の帰りの足のことなど考えていないことが良く分かる。
三菱重工相模原ダイナボアーズがラグビーリーグワン2023/24シーズン開幕戦の花園近鉄ライナーズ戦(2023年12月9日)において「1万人プロジェクト」を企画し、10,681枚の前売りチケットが発券されたものの、実際の来場者は7,852人に留まり、プロジェクトは失敗に終わった。その理由が駐車場の不足と、輸送バスの不足にあったと分析したにも関わらず、その問題点をSC相模原と共有することはなかったのではないか。