ロケットスターがサーチャー・投資家・企業の三者にもたらすメリット

——サーチャーにとって、ロケットスターでキャリアをスタートさせることは、非常にメリットが大きいように感じます。サポート以外にもメリットがあれば教えてください。
そうですね、これはサーチファンド全般のメリットにもなりますが「起業を考えている方が抱える根本課題」にアプローチできることがメリットかもしれません。それは金銭的なリスクと能力に対する懸念です。
一般的に起業には、収入や貯蓄の大幅な減少や事業成功の不確実性など、金銭に関わるリスクが付きまといます。例えば家族がいるなど様々な理由で起業に踏み出せない人が多い。しかし「やってみたい、自信はある」という方は多いのですよね。そういうグロース体験をされている方も多いですから。そこでロケットスターの場合は、サーチャーに対して、現状の給与とほぼ同等の報酬を保証しています。この方法によって、起業したい方々の金銭的なリスクを大幅に軽減できると思っています。
また「自分は起業家向きではない」と考えている方もいます。それは0→1をイメージしているからだと思います。サーチファンドの場合は、M&Aして起業するというM&A起業ですから、今ある事業や組織を持った上で改善成長させていくことがミッションです。
起業にはアントレプレナーシップ(新しく事業を創造・興す力)が不可欠であると思われがちですが、そういった部分だけが経営者の資質として重要なわけではありません。すでに形があるものを改善して伸ばしていける能力もまた、経営者として活躍できる資質です。
このような方々が、金銭的なリスクを最小限に、得意分野で経営に挑戦しやすいという部分はサーチファンドおよびロケットスターの大きなメリットですね。
——投資家にはどのようなメリットがありますか?
通常のPEやVCに比べて、高いリターン実績を出していることが、サーチファンドに投資するメリットですね。これは、スペインのIESEビジネススクールのファクトデータで示されています。
サーチファンドのパフォーマンスが高くなる要因はいくつかあると思っています。まだ仮説ですが、一つは企業規模が小さいことが挙げられます。たとえば、100億円規模の企業が10億円成長しても成長率は10%ですが、1億円規模の企業が2億円に成長すれば200%の成長率です。成長時のインパクトが大きくなることで、高いリターンとなります。
また、主にVCが投資するスタートアップ企業との違いもあります。先行投資などで赤字を計上しながら事業を進めることが少なくありません。そうやって新市場を掴み、Jカーブを形成していくのがスタートアップだと思いますが、一方でサーチファンドはすでにビジネスモデルが確立されて収益が上がっている場合が多く、赤字を大きく掘るということがあまりないため、業績がマイナスに転じるリスクが少ないのも要因ですね。
もう一つはアニマルスピリッツかな、と。先ほど話したようにMBOの仕組みを利用することもできるため「一定の成果を上げればオーナー社長になれる」という目標が、企業の成長を後押ししている部分もあるのではないでしょうか。
——買収される会社にとってのメリットはどうでしょうか?
新たな経営者が入り、ロケットスターの経営サポートが入ることで、再成長が実現できる可能性がある、と考えています。中小企業においてはIT導入やDX化、AI活用が限定的になってしまっている場合もありますし、人脈に頼った営業先の開拓にはやはり限界がきます。こうした幾つかの原因に対してアプローチし、適切に支援や投資を行うことで企業の再成長を促すことにつながります。そうなればきっと、残る社員の皆さんの喜ぶ顔、取引先さんの安心感も得られますし、そしてご自身で育て上げた会社が継続的に成長し賞賛される姿を見るのはめちゃくちゃ嬉しいことだと思います。良き決断をしたな、と人から言われるだけではなく、自分でも納得感が高まると思います。