起業について、どのようなイメージを持っていますか? VCからの出資を受け、新たなサービス創出を目指す、ハードルが高いことのように感じている方は多いはずです。実は現在、起業の方法にサーチファンドを活用した起業という選択肢が生まれはじめています。

 前職でソウルドアウト株式会社をデジタルホールディングスの子会社として立ち上げ、社長としてプライム上場を実現した荻原猛氏。その実績や体験を背景に、サーチファンド「ロケットスター株式会社」を創設し、代表取締役社長CEOに就任しました。今回はサーチファンドの仕組みを活かしたロケットスターの未来展望について、サーチファンドの仕組みなどとともに語っていただきました。

日本は起業後進国 起業家不足が起こす弊害とは

起業家増産計画。グロース思考のサーチファンドが日本再生のカギになる
(画像=『Business Journal』より 引用)

——荻原さんがサーチファンドの特徴に着目し、ロケットスターのような仕組みが必要だと考えた理由はなんでしょうか?

 日本において、起業家の数が少ない、起業したくても起業できる状態の人が少ない、という部分に課題感を持っていたためです。その課題を突破できる方法を考えた結果、ロケットスターの仕組みが生まれました。

 中小企業機構などにもデータとして出ていますが、私は起業家の数の多さは、世の中のダイナミズムや社会のイノベーションを促進する要素の1つであると考えています。起業家が誕生するごとに新しいサービスが増えて便利になり、人々の生活レベル、引いては国そのもののレベルが上がっていきます。本来、起業にはそのような役割があるんですよね。

 しかし現状、日本の開業率は低く、イギリスやフランスでの開業率13%前後と比べ10ポイント近くも離されていることが確認できます。

 一方で廃業率も低い傾向があります。救済策などが多く、小規模でも存続しやすい環境が影響しているのかもしれません。それは良い施策ではありますが、一方で起業数が社会の豊かさと因果関係があるのならば、本来取るべき方法は小規模での延命よりも起業数を増やすことが大切なのではないか、と思っています。

 起業のリスクや障壁を取り除けるような、新たな起業方法を生みだすことで起業家の増加や社会全体の成長に貢献できれば、そんなに嬉しいことはありません。

——起業家を増やす、という目的に対してファンドという方法をとったのはなぜでしょうか?

 多くの投資家から資金を調達するファンドという仕組みを活用すれば、より多くの企業を買収し、多くの起業家を生み出すことが可能になるからです。より大きな規模で展開したいため、ファンドの仕組みを活用しました。

 もちろんファンド化せずにロケットスターが自前のキャッシュで企業を100%子会社として買収するという方法もあります。ですがその場合、成功時のリターンは大きいかもしれませんが、資金が限定的なので買収する企業の数に限りが出てしまいます。起業家の数が少なく、規模が小さくなってしまうのは理念と整合しないため選択しませんでした。