ところが、プロトタキシテスそのものは化石によって大きさや断片の状態がまちまちで、有機物の割合もバラバラ。
ひとつの標本だけで全体像をつかむのは難しかったという事情があります。
「管の構造が菌糸っぽい」「リグニン様の化合物がある」など数々の報告がありましたが、しっかり一本筋を通せる仮説はなかなか見当たりませんでした。
そこで研究チームは、Rhynieチャートから新たに見つかった大型標本を使い、高度な顕微鏡観察や分子分析で徹底的に比較検討することにしたのです。
4億年前、地上を覆った“偽巨大キノコ”

今回の研究ではまず、大型のプロトタキシテス化石を強力なフッ化水素酸(HF)などを用いて溶かし込み、石英質を除去して有機物だけを抽出するという方法が取られました。
イメージとしては“酸のお風呂”に化石を漬け、岩石の部分をそぎ落として中身を取り出す感覚です。
この工程は危険も伴いますが、ふだんは石英に埋もれて見えない細胞壁やバイオマーカー(生物特有の化合物)を鮮明に捉える上で重要なステップとなります。
続いて、取り出した有機物を「赤外線を使った分子の指紋検出器」にかけ、どのような化学結合を持っているかを隅々までチェックしました。