これは、民主主義的なメッセージが必ずしも“予防接種”のように機能しないことを意味します。
新鮮な視点や意外性のある内容を目にするとき、人間は批判的検証を十分行わずに「なるほど」と取り込んでしまうからかもしれません。
だからといって、日本の民主主義がすぐに崩壊するという極論を導く必要はありません。
むしろ、本研究をきっかけに「なぜ自分はリベラルな価値観を当然だと思っているのか」を再確認することこそ、自由主義社会を守るうえで大事ではないでしょうか。
シャープパワーがもたらす情報戦が激化する時代だからこそ、どんなストーリーを信じ、どんな形でそれを広めるのか──私たち一人ひとりがその問いを問い直すきっかけとして、今回の研究は有意義な示唆をもたらしているように思えます。
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元論文
Autocracies win the minds of the democratic public: how Japanese citizens are persuaded by illiberal narratives propagated by authoritarian regimes
https://doi.org/10.1080/13510347.2025.2475472
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部