最終予選での長友は残念ながら、ただの盛り上げ役だ。本大会の登録人数が26人に限られる中、“ガヤ”に1枠を使うよりも、有望な若手に譲りコーチングスタッフとして帯同させたらどうかという意見が出てくるのも理解できる。

しかし、森保監督は「合宿での紅白戦では三笘のドリブル突破を一番多く止めているのが長友」と語り、あくまで戦力として招集している。

長友は昨2024シーズンにはFC東京で右サイドバックにコンバートされ、今2024シーズンは3バックの左ウイングバックとして6節終了時点で4試合に先発、うち2試合でフル出場するなど、プレーの幅を広げつつ、相変わらずのタフガイぶりを見せ付けている。

おそらく森保監督は、長友が負傷でもしない限り、来年に迫ったW杯本大会のメンバーに招集するだろう。そして、日本人初となる5度目のW杯出場の達成も現実味を帯びてくる。


長友佑都 写真:Getty Images

出場時間以上にチーム全体に好影響

日本代表のほとんどが欧州組である今、能力は確かだがピッチ外でまとめ役を務められるような人材がいるかと問われれば、適役が見当たらないのが現状だ。今や代名詞となった「ブラボー!」というポジティブな発言や、チームメートを鼓舞する姿勢のみならず、若手や海外組とも積極的にコミュニケーションを取り橋渡し役を担っている長友は、森保監督がチームの一体感を重要視する中、欠かせない存在となっている。

長友とて、セリエAのインテル(2011-2018)で7シーズンもの長き間レギュラーとして活躍し、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)も経験した世界を知る選手だ。さらにW杯の舞台ではグループリーグ敗退(2014ブラジルW杯)と決勝トーナメント進出(2010南アフリカW杯、2018ロシアW杯、2022カタールW杯)の両方を味わっている。

この経験は、若手が多い現在の日本代表にとって、プレッシャーのかかる大舞台でのメンタルを支える上で貴重なものだ。そして何よりも、今もってなお欧州クラブを渡り歩いていた頃の“ギラギラ感”を失っていない。