EV/EBITDAは企業価値(EV=自己資本+負債総額)をほぼ営業利益に等しいEBITDAで割った数字で、大ざっぱに言えば営業利益何年分で債務の元利返済負担をこなしながら自己資本を毀損せずに企業活動を持続していけるかを示しています。もちろん、大きいほど割高、小さいほど割安です。
残りの2つは、国民経済全体の視点から株価を評価する指標です。
Qレシオとは株価純資産倍率(PBR)が自己資産を簿価で評価するのに対して、自己資本を実勢価格で評価した自己資産で株価を割って得られる数値です。自己資本や負債の含み益や含み損が正確に評価できれば非常に明快な割高感、割安感の指標になります。
ですが、実際にはQレシオの分母である実質自己資産は近似値で評価しています。また、その近似値は事業活動を継続している企業なら(敵対的買収を避けたいとき以外は)どこでも含み益は大きめに、含み損は小さめに評価しがちなため、分母は大きくなりがちであり、株価を割安に評価する傾向は否めません。
株式時価総額のGDPに対する倍率である最後の指標は、ウォーレン・バフェットが市場の過熱圏や底値圏を探るためにひんぱんに用いているので、バフェット指数とも呼ばれます。
もしあらゆる経済活動をしている主体について自己資本の実勢価格を求めて、それがGDPの何倍かを示すことができれば、それなりに有意義な指標となります。現在の自己資本が徐々に減耗して無価値になっていく年数に比べて、自己資本の時価総額がGDPの何倍かのほうが小さければ割安、大きければ割高と言えます。
ですが、実際には上場企業の時価総額を集計することさえむずかしく、ましてや未上場企業や独立自営業者の時価総額はまったく推計できていないので、1国を代表する株価指数の時価総額がGDPの何倍かを示すことで代用しています。
アメリカの場合、S&P500の時価総額がGDPの何倍かで判断するのが通例となっています。この数値が1より大きければ割高で小さければ割安と言われているのですが、キリのいい数字だという以外には、1を基準とする経験則の根拠はなさそうです。