暗黒物質は、電磁力に反応せず、光を放射、吸収、反射しないため、直接観測することはできません。
そのためもし重さ10㎏の暗黒物質の拳(暗黒拳)で殴られたとしても、通常の物質でできた私たちの体は何も感じることなくすり抜けてしまうでしょう。
暗黒物質が何であるかはまだわかっていませんが、重力を発したり、重力の影響を受けることだけは判明しており、その存在の証拠も観測されています。
その最たる例が銀河を回る星々の動きにみられます。
銀河系の星々はニュートンの運動法則に従うならば、中心部の星は早く、外縁部の星はゆっくりと銀河を回転しているハズです。

太陽系の惑星でも一番内側の水星の公転速度は速いですが、海王星や冥王星はゆっくりとした速度で公転しているのと同じです。
しかし銀河の星々の回転速度を調べたところ、銀河系の中心部も外側もほぼ同じ速度で回転していることが判明します。
(※つまり外側が想定よりも早く動いていたのです)
この状況をニュートンの法則に基づいて計算を行ったところ、目に見える物質のおよそ10倍の「何か」が銀河全体を包み込んで、重力を発しているという結果が得られます。
この見えない何かが「暗黒物質」と呼ばれる存在です。
既存の理論では、いわゆる暗黒物質もこのビッグバンによって生成されたとされています。
再び水の蒸発で例えるなら、ビッグバン前の宇宙を砂糖(通常の物質)と塩(暗黒物質)が溶けている状態の水だとすると、ビッグバンによって水が気化(相転移)したことで砂糖の結晶と塩の結晶が両方一度に現れたと言えるでしょう。
暗黒物質をうみだす暗黒ビッグバン

暗黒物質の理論が提唱されてから40年、物理学者は暗黒物質を検出するために、さまざまな検出器を構築してきました。