一度あることは二度あるようです。
米国のテキサス大学オースティン校(UT Austin)で行われた研究によって、最初のビッグバンが起きてから1カ月以内に、暗黒物質を生成する2度目のビッグバン「暗黒ビッグバン」が起きた可能性が示されました。
研究では、この暗黒ビッグバンによって通常の物質を構成する粒子の何兆倍も重い暗黒物質が作られ、銀河を巡る星々の動きを影から制御する物理法則の基礎となったと結論しています。
また最初のビッグバンが宇宙背景放射によって証明されたように、暗黒ビッグバンの存在も宇宙の背景に響く重力波を解析することで証明できる可能性があるとしています。
2度目のビッグバン(暗黒ビッグバン)の正体を知ることができれば、宇宙誕生の謎に迫る大きな1歩となるかもしれません。
今回はまず「ビッグバンとはそもそも何なのか?」という疑問を相転移の視点から解説し、続いて暗黒ビッグバン理論が如何に誕生したかを紹介したいと思います。
この研究は2023年4月20日に、科学雑誌「Physical Review D」に「暗黒ビッグバンに由来する暗黒物質と重力波(Dark Matter and Gravity Waves from a Dark Big Bang)」とのタイトルで公開されています。
目次
- 「そもそもビッグバンとは何なのか?」相転移の視点から解説
- 暗黒物質は2度目のビッグバンで作られた
- 暗黒ビッグバンの証拠は宇宙背景重力波に刻まれている
「そもそもビッグバンとは何なのか?」相転移の視点から解説
ビッグバンは宇宙の始まりではない

宇宙の始まりについて私たちの多くは「ビッグバンによって超高密度の「点」が爆発的に膨張して宇宙になった」と思っているでしょう。
実際、昔の子供向け科学雑誌にはしばしば、そのように記載されています。