しかし現在、ビッグバンは宇宙の始まりとは考えられていません。
現在の宇宙論では、まず超高密度の「点」であった宇宙の素がインフレーションによって急激に膨張して一時的に冷え、その後再加熱されたと考えられています。
そして幼い頃の私たちがビッグバンだと思っていたのは、この再加熱現象であることが明らかになりました。
私たちの宇宙は誕生した直後から
「超高温超高密度の点」➔インフレーションで急膨張して冷却➔再加熱(ビッグバン)➔素粒子の誕生➔ヒッグス粒子の性質変化➔原子の誕生➔星々の誕生➔現在の宇宙
と目まぐるしく様相が変化していったのです。
この変化は全宇宙の物体の性質や時空の性質、そして力の働き方そのものもが劇的に変化することから「相転移」と呼ばれています。

また変わったのは宇宙の温度や大きさだけではありません。
宇宙の最初の段階では、現在自然界で見られる4つの力(重力、電磁力、強い核力、弱い核力)が一つに統合されていました。
宇宙が相転移するにつれ、これらの力は分岐し、現在知られている形になりました。
たとえるなら、この力の分岐は、単一の樹木が成長し、多くの枝に分かれるようなものと言えます。
各枝はもともと同じ幹から生じたものですが、成長するにつれて異なる方向へと伸びていきます。
そして新たな枝が芽生えると、力のあり方が変化して宇宙全体の物理法則も変化していきました。
(※またヒッグス粒子の性質変化によって素粒子にまとわりつくようになると「質量」が発生して粒子の飛び回る速度が低下し、原子の形にまとまれるようになっていきました)
ビッグバンは目まぐるしい相転移の1つに過ぎない
