コスト負担者:「米国消費者が輸入品の値上げを通じて関税の負担を負った」と明記しており、関税コストの負担は主に米国側にあると結論づける。中国側への影響は報復関税による輸出減少などで発生したものの、関税そのものの直接コストは米国企業と消費者が吸収した形となる。
3. The Total Cost of U.S. Tariffs (American Action Forum, 2022)
物価への影響:共和党系の政策分析機構であるAmerican Action Forumのこの論文では、トランプ政権下の関税が消費財や生産財の価格を押し上げたとする。関税の総コストは年間460億ドルに達し、国内生産に使われる輸入品の64%にも影響を与え、コスト増が幅広い産業に波及したと述べている。
コスト負担者:関税のコストは米国輸入業者と消費者が完全に負担したと結論づけた。複数のNBER研究を引用し、「関税の全コストが米国側に転嫁された」と強調。中国が報復関税で対抗した結果、米国の輸出業者にも間接的影響が出た。
4. The Impact of the 2018 Tariffs on Prices and Welfare
物価への影響:Journal of Economic Perspectives誌で発表されたこの論文では2018年の関税導入後、対象品目の輸入価格が関税率にほぼ比例して上昇したと報告する。具体的には関税の影響を受けた品目の価格は、2018年初頭から2019年までに約20%上昇したと推定した。関税による輸入価格の上昇は米国内の生産者物価(PPI)にも影響を及ぼした。特に中間財に課された関税がコストを押し上げ、最終消費財の価格にも部分的に転嫁された。ただし消費財全体のインフレ率への影響は限定的で、CPIの上昇は約0.1~0.2%ポイントに留まると試算された。セクター間の違いとして鉄鋼やアルミニウムのように国内代替が可能な品目では、外国輸出業者が価格を下げて関税の一部を吸収したため、価格上昇が抑えられたケースもあったが、洗濯機や中国からの消費財などでは、価格上昇が顕著だった。