ところが、日本ではこの知的能力を活かす道も非常に狭くなっているのです。次の2枚組グラフをご覧ください。
左側は、日本の15歳の少年少女に「理科は好きか」という質問をして、「イエス」回答を、理科の習熟度レベル別に集計したものです。ご覧のとおり全習熟度レベルで少女たちの「イエス」回答は少年たちを下回っています。
こうした回答パターンについて、日本の教育評論家などが「日本の少女たちは自尊感情が低すぎるから、どう改善するか」といった論議をすることが多いようです。
でもこれは、自尊感情の問題ではなく、賢い日本の少女たちはどんなに理科でいい成績を取っても、それが社会に出て有利に働くとは限らないことを知っていて、諦めてしまっているのです。
その証拠と言えるのが、右側のグラフに出ている読解力レベル別の男性と女性の就業者のうちで年収が上位25%以内に入る人たちの比率でしょう。
女性では読解力レベルが4以上の人たちでも年収上位25%以内はたった15%と、読解力レベル3未満の男性の31%の半分にも達していないのです。
これがいかにもったいない宝の持ち腐れ状態なのかを、一点の曇りもなく明らかにしているのが次の2枚組グラフです。
左側の棒グラフを見ると、2018年のPISA調査での日本の15歳女子の理科平均点はOECD諸国の中で突出した1位です。2位韓国の529.6点以下35位のチリまでが数点刻みで並んでいるのに、日本の545.7点だけは2位に16点の差をつけています。
しかし、右側の15歳時点の女子理科平均点と大学の理工系学部入学者の女子比率の分散図をご覧ください。日本の大学生で理工系に入学する女子の比率は、OECD諸国で最低なのです。
なぜそんなことになってしまうかと言えば、理工系の学部をかなり優秀な成績で卒業したとしても、日本の大学や研究所で女性が研究者として採用される確率は異常に低いからです。次の2枚組中左側のグラフです。