そこから進んで、『本当はそのような実態が無いのに炎上しているとしてメディアが取り上げた結果、あたかも炎上が発生しているとの認識が拡散されるようになったもの』という用語法があるようです。
上掲の小木曽氏のコメントでも「ごく少数の意見に焦点を当て「こういった声もある」とメディアが報じた結果、あたかも炎上しているように認識されてしまう。これが非実在型ネット炎上」と書いています。
ネット情報を研究している国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一氏も2022年の記事に「実際に批判をしている人は少数なのに、「○○が炎上!」とメディアが取り上げ、それをきっかけに炎上してしまう事例です」と説明しているのが見つかります。
「非実在型炎上」で検索すると出てくる鳥海教授の資料でも、定義として扱っているかは分かりませんが、少なくとも「メディアによる炎上という認識の拡散」が典型例として捉えられている記述があります。
なお、ITジャーナリストの鈴木朋子氏の説明では「反対意見ばかりが大量にツイートされたわけではなく、反対意見への批判や施策に肯定的な意見も多くツイートされたことで「トレンド」に掲載されたのです。こうした状態を「非実在型炎上」と呼びます。」とありますが、これは定義というよりは典型的な発生機序の説明として有用でしょう。
「炎上」の一般的定義も設定不可能か:判断手法・典型的な発生機序
すると、今度は「炎上」の定義や基準を考えなければなりませんが、一致する見解は見ることがありません。なお、鳥海教授が定義や基準を定めている資料は見つかりませんでした。それは不可能だと理解してそうな気配があります。Xも昔と比べて拡散されなくなってきているなど、各サービスの仕様や環境は変わるものですから、一律に数を決めることはできないのでしょう。
「炎上」の性質上の定義 「炎上」の数値上の定義・基準
便宜的にこのように整理することができます。性質上の定義をすると、では数値はどうなのか?を調べる際に判断資料を集める範囲が定まることに繋がります。