まず、「非実在型炎上」という語が現在のネット環境上で確認できる初出は、2020年5月に鳥海不二夫教授が投稿した以下のnote記事。X(当時はTwitter)上でも、この記事のシェアを皮切りに「非実在型炎上」という語の認知が広まっていたのが分かります。他のWEB掲示板やプラットフォームでも調べましたが、これ以前に用語が使用された例は見つかりません。
鬼滅の刃の作者が女性だったから炎上したという非実在型炎上の話(追記あり)|tori
ここでは2020年05月09日04:50:26~同17日15:10:20まで「鬼滅」「作者,女」を含みURLを含まないツイート(RT除く)374ツイート中,作者が女性であることを非難するアンチコメは2件ということが指摘されています。
なので、「赤いきつねCM」の騒動に対して為されたコメントによって現象に名前がつけられた、というわけではありません。
同じ意味の別の言葉が存在していたり、同じ概念が言い表されていたかは分かりません。 例えば上掲鳥海教授記事では「非実在型デマ」という語がつかわれていますが、この言葉も2020年5月以前には検索ヒットしない。なお、その記事にもリンクが貼られている2020年4月の鳥海教授記事では「サザエさん」に関して「あまりにもおかしい炎上があるというニュースは本当に存在するのか注意してみてもらうようにしたほうが良い気がする」と書いている。
その上で「非実在型炎上」の定義や基準はなんなのか?それに照らした場合に「赤いきつねCM」は炎上が非実在だと判断すべきなのか?について、順を追って整理します。
「非実在型炎上」を一意に定義は不可能:異なる意味と基準
「非実在型炎上」については概ね「炎上していると言われている事項が本当は炎上していないもの」という意味のものとして扱われていると言えます。炎上の有無が問題となっており、炎上の前提となる事実関係が不存在、ということではなさそうです。