営業キャッシュフローは2022年のピークが約900億ドルだったのに対して直近のピークは1200億ドルを超えています。一方、フリーキャッシュフローのほうは2022年のピークが650億ドルだったのに対して今回のピークは750億ドルにとどまっています。

もちろん、この差額が設備投資の激増ということになっているのですが、マイクロソフトの場合、設備投資中最大の項目であるクラウド事業について、ほとんど収益見込みの改善を公約していません。

「とにかくクラウド事業は大事だから大金を突っこむが、投下資金を回収できるほど収益性が改善するのはいつのことになるかわからない」と、ある意味で非常に正直にこの事業の収益展望の暗さを認めています。

またマイクロソフトは生成AI事業でつい最近までトップ企業と目されていたオープンAI社の最大出資者なのですが、この企業のCEOであるサム・アルトマンが巨額赤字を垂れ流ししながら非営利団体から営利事業に転換しようと画策していることを特段非難はしていないようです。

どうも生成AIモデル開発の商業化やクラウド事業の収益性改善について、真剣に検討している気配がないのです。これは意図的な無方針であって、最大出資者となっているオープンAIや自社のクラウド事業に関しては、わざと巨額損失の発生を招き寄せているのではないでしょうか。

循環取引によって記帳した売上も利益も架空の収益であって、現実には存在しません。ですが、その収益を使って設備投資や他社への出資をしたら巨額損失を出したということになれば、減損会計で税引き前利益に特別損失をぶつけて節税ができその、節税分は現実の利益になります。

それ以外には、オープンAIや自社のクラウド事業部門の赤字垂れ流しを放置している理由は見当たりません。

メタメタ中途半端なメタ

メタの場合、フェイスブックという社名までメタ・プラットフォームズに変更し、鳴りもの入りで発売したメタヴァース商品群が惨憺たる売れ行きだったため、2022~23年のフリーキャッシュフローの落ちこみがかなり深刻だったという差はありますが、それ以外の点ではマイクロソフトと「以下同文」という印象が強いです。